
さて、前回から引き続き金属3Dプリンタでの造形についてです。
前回の最後の画像を改めて載せておりますが、
こちらはショットピーニングという表面処理を行った後の
造形物の外観です。処理前の造形物はどんな状態なのかを
見ていただきましょう。


処理前の造形物はこんな感じの色味をしています。
少し錆びた様な金属色をしており、ベースプレートからワイヤ放電加工機を使って切り離す為、裏面も加工痕がありました。

実際にショットピーニング処理を行っている様子です。
ショットピーニングとは無数の鋼球または非金属の小さな球を
高速で金属表面に衝突させることで表面の研磨や
圧縮残留応力の付与を行う処理のことです。
表面の研磨という点で似たような加工に「サンドブラスト」や
「ショットブラスト」があります。
端的には、細かい粒子を金属面に吹き付けることで
表面を綺麗にしています。
今回はセラミック粒子を吹き付けることで表面の研磨を
行いました。厚手のゴム手袋をつけて作業を行うのですが、
細かいものが高速でぶつかっているのが感じられ、
局所的に当てると手袋越しでも少し痛いと思うくらいの勢いでした。
(金属の表面を磨いているので当たり前ですが。。。)



比較としてアジリスタ3100を使って同じモデルを造形しました。
樹脂の造形物をみてもらうと、上面に空いている穴がクランクして下面に通じているのが分かると思います。
金属の造形物でもしっかり造形できているので十分水管として機能しそうです。
金属造形では樹脂造形よりもオーバーハングに注意して設計する必要があるそうです。
個人的には出来上がった造形物の雰囲気が鋳造品に近いものを感じましたので、
小さなモノで一点モノや小ロット生産品といった場合に型を作るよりもコストメリットがあるのではないかと思いました。
また、これまでの機械加工では難しい螺旋形状や入り組んだ構造も3Dプリンタなら造形ができそうですね。
トポロジー最適化技術を駆使すれば強度を保って軽量化することもできるので、
これまでよりもシンプルなモノづくりを行うことができます。
3Dプリンターでの部品製造は航空宇宙産業をはじめ、自動車メーカーでも活用が始まっている。
某メーカーでは最終製品として金属3Dプリンターで造形した部品を使用しているほか、
カスタムパーツとして1点モノの部品を樹脂・金属の両方で製造を始めているそうです。
モノづくりの世界の技術の進歩に置き去りにされないために、日々の業務でも自身の技術力向上を考えながら、
多方面へアンテナを張って情報収集しなければいけませんね。
ということで、金属3Dプリンタでの試作造形第1弾でした。
もし、本記事を見て「こんなの造れないかな・・・?」と思われましたらお気軽にご相談下さい♪
3Dプリンターでの造形に限らず、「この場合はこういった加工方法があります」という形で最適な方法をご案内致します。
By M.I
コメントをお書きください